ご存じのように、煮るか蒸した大豆を納豆菌によって発行させた食品です。その起源にはさまざまな説がありますが、ひとつには弥生時代、稲作とともに大陸から伝わった大豆を煮た際に、当時の住居に敷かれた藁にこぼれ、室内の適度な温度と湿度によって発酵して納豆になったという説があります。一方、平安時代の後期に当時、武士の兵糧とし食べられていた煮豆を藁にくるんで馬の背に乗せて運んでいたところ、発酵して納豆になったという伝説が東北地方にあり、これも有力な納豆の起源説になっています。どちらにしても、藁についた納豆菌と適度な温度と湿度下にあったという偶然が重なった結果ではありますが、ちなみに名称の方は、お寺の倉庫である納所で大豆を原料に作られた事に由来するという説や「麦藁に納められた豆」という意味でそのまま納豆と言うようになった説などがあります。納豆が広く庶民に食べられるようになったのは江戸時代のことで、現在のようにご飯にかけて食べることもありましたが、みそ汁の具として「納豆汁」で食べる方が一般的だったということです。今ではいろいろな具材と合わせるなど、さまざまな調理法もある納豆。その栄養価に注目して、学校給食でも以前からよく使われていますが、納豆を使った地方の伝統料理を献立にするケースもあります。新潟の魚沼地方には「きりざい」と呼ばれる郷土料理がありますが、「きり」は切ること、「ざい」は野菜の「菜」で、その名の通り、根菜や葉物野菜の漬物などを細かく刻んで納豆を加え、しょうゆなどで和えたおかずです。肉や魚などが貴重品だった昔、その代わりに納豆を加えてタンパク質を補ったいうことですが、この調理法だと、納豆独特の臭いや粘りが苦手な子供にも食べやすく、栄養バランスにも優れているため採用されたということです。