切り干し大根は、大根を薄く細長く切って乾燥させた保存食で、「切り干し」とも呼ばれることもありますが、これらは関東での呼び方で、関西は「千切り大根」と呼ばれています。切り干し大根には、縦に大きめに切って干した厚みのある「割干し大根」や千切りにしたダイコンを一度茹でてから干した「ゆで干し大根」、薄くひらひらとした短冊切りにして干した「平切り大根」など、作り方によっていくつかのバリエーションがあります。日本において、大根自体は室町時代に広まったと言われていますが、江戸時代になると品種改良が進み、漬物や切り干しなどにして保存されるようになりました。特に切り干し大根は、飢餓対策用の保存食にもなるため、全国で作られるようになったということです。江戸時代には愛知県の尾張が代表的な産地でしたが、明治以降は青首大根とともに切り干しの技術が伝わった宮崎県が一大産地となり、現在では全国の切り干し大根の9割を県内で生産しています。この切り干し大根を学校給食の献立として使っているケースに、和歌山県の「すろっぽ」があります。すろっぽとは、千切りにした大根や人参に、細く切った油揚げ(または高野豆腐かさつま揚げ)を加えて煮た和歌山の郷土料理で、給食では生の大根の千切りの代わりに、扱いやすい切り干し大根を用いることが多いようです。普通の切り干し大根の煮物と異なるのはその味付けで、酢を効かせてさっぱりと仕上げているところに特徴があります。ちなみにすろっぽとは、大根と人参をせん突きという道具で千六本に突いて作る料理のため、せんろっぽんがなまってすろっぽと呼ばれるようになったということです。