給食の献立に彩りを添え、栄養価も高いフルーツですが、なかなか思い通りに使う事ができないという状況も現場にはあるようです。文部科学省は、学校給食で摂取すべき各種栄養素の基準を定めており、それを満たすための目安として、幼児・児童では果物類を30~40gと定めています。しかし、現状では1人1回の学校給食で食べる果物は、小学校で6.5g、中学校で19.5gと半分程度に過ぎないという統計結果が出ています。ただ、近年では冷凍フルーツを上手に活用して、それに近づけていこうと努力するケースも増えているようです。冷凍フルーツは保存が効くため、いつでも使えるというのが最大のメリットですが、旬の果物を冷凍している為、食べる側にも、一番おいしい状態のものを食べられるというメリットがあります。また最近では、瞬間冷凍も可能になり、近い将来、よりおいしい冷凍フルーツが給食でも出されるようになると思われます。一方、地元で採れた果物を冷凍し、ジャムなどに加工して給食で使うという取り組みにも注目が集まっています。埼玉県の越谷市では、市内で採れたイチゴを冷凍して作った「越谷いちごのジャム」を、市内の全小中学校の学校給食で出す試みがされています。イチゴ生産農家と同市の農業技術センター、学校給食センターの栄養士が協力しあって作られたジャムは、縦8㎝×横6㎝の個包装になっています。「通常のジャムより数倍多く、イチゴの含有量を50%にして甘さにこだわった」との言葉通り、食パンにつけて食べた児童からは、「酸味と甘みのバランスがよくてさわやか。イチゴの風味を強く感じた」「想像以上のおいしさ。また食べたい」といった感想が寄せられたということです。保存が効く冷凍フルーツですが、地元で採れたものを使うことによって、地産地消の促進と地場産業の理解という、大きなメリットにもつながっているのです。