ブラジルが原産地であるパインアップルは、アメリカ大陸を発見したコロンブスがヨーロッパに伝えたとされています。パインアップルという名前の由来は、松のパイン(pain)と元々は果実全般を指す意味があったアップル(apple)を組み合わせたもの。松さかのように見えることからそのような名前がつけられたと言われています。日本に伝わったのは、江戸時代の末期で、小笠原諸島の父島に植えられたという記録と、長崎にオランダ船が持ち込んだという記録が残されています。国内で主に栽培されているのは沖縄本島の北部と石垣島、西表島など。近年品種改良が進み、小ぶりで甘みが強く芯まで食べられる「ピーチパイン」や、手でむしって食べられる「スナックパイン」などの小型パインも。また国産では、石垣島産の「ティーダパイン」もおいしさで人気となっています。パインアップルを使った料理といえば、代表的なものに酢豚があります。一般的には、パインアップルに含まれる成分が豚の肉質を柔らかくするために使われるとされていますが、歴史をひもとくと別の理由があったことがわかります。中国の清王朝末期、欧米人の居留地となっていた上海にあったレストランで出された酢豚に、はじめてパインアップルが使われました。当時、とても珍しく高価な食材だったパインアップルを使う事で、料理に高級感を出そうとしたのがその理由だったそうです。一方、肉を柔らかくする効果があるのも事実で、それはたんぱく質分解酵素であるプロメリンによるもの。ただ、この酵素は熱に弱いため、缶詰のパインアップルには含まれておらず、柔らかくする効果を得るためには、生のものを使うことが必要になります。