近年、農業や漁業に携わる人たちが中心となって力を合わせ、農産物や水産物を加工して販売するなどの活動が盛んになっています。これらの動きは一般的には【6次産業化】と呼ばれ、農林水産省もそのサポートに力を入れています。6次産業と言われるゆえんは、1次産業である農林漁業と2次産業である製造業、そして3次産業である小売業等の事業が、「総合的かつ一体的な推進を図り、地域資源を活用した新たな付加価値を生み出す」取り組みとして、各産業の数字を足して(1+2+3=)6次産業としたものです。具体的な事例としては、例えばサバ漁が盛んで、これまでは仲買にサバを下していただけの港の漁業組合が、サバ缶を作る工場を建て、婦人部が中心となって新しいブランドのサバ缶を作り、高級スーパーにおろしたり、インターネットのショップを作ったり、ふるさと納税の返礼品として扱ってもらうなど販売にも携わる、というようなケースがそれにあたります。このような6次産業化による加工食品は、最近では給食用のものも出始めており、地商地産の推進とともに、地域産業の保護と振興にも役立っています。果樹王国とも呼ばれる山形県では、1950年代からフルーツを缶詰に加工する企業を誘致してきましたが、近年では、地元で採れるフルーツを学校給食でもおいしく食べてもらおうと、学校給食用のカップゼリーの製造販売に力を入れています。ラ・フランスや白桃などを使ったフルーツゼリーですが、地元から全国へと販路を広げるため、冷凍にしたカップゼリーも開発。旬の味がいつでも楽しめるだけでなく、減少傾向にある加工用果実生産農家への支援を行いながらの活動という面もあり、注目を集めています。