古くは縄文時代から日本人の食卓に登場してきたイカですが、近年は漁獲量が激減しており、安定的な供給が危ぶまれています。少し前の数字となりますが、2019年の総水揚げ量は、刺身やイカソーメンなどで食される[生鮮イカ]が、過去最低とされた2018年とほぼ同じ。珍味などに使う[冷凍イカ]はなんと前年比8割減で、5年前と比べ3分の1以下しか獲れなくなっているということです。不漁の原因は、水温などの海の環境変化がある他に、日本近海での他国船籍による乱獲などもあるようです。マグロやサンマなどのように国際的な漁獲ルールが定まっていないためで、資源保護という観点からも早急なルール作りを求める声が高まっています。そのような状況下ですから、おいしいイカが手に入ったときには、上手に調理して食したいものです。イカの調理方法には様々なものがありますが、イカならではの栄養素を逃がさないように調理することがポイントになります。イカの最も特徴的な栄養素にタウリンがあります。タウリンは生活習慣病の予防や疲労回復、ストレス軽減などに有効な栄養素で、肝機能の回復やコレステロールの低下にも効果があると言われています。このタウリンは熱に弱いという性質があるため、直火で焼くよりも、溶けだしたタウリンが汁や他の具材などと一緒に摂ることができる煮物や炒め物の方が向いています。また、タウリンが最も含まれているのがワタの部分となるため、ぜひ活用していもの。先にワタを取り出して醤油などと合わせてワタソースを作っておき、炒める時やホイル焼きに絡めると、特有のコクも出て美味しくなります。