「冬の果物の定番は?」と聞かれたら、「みかん!」と答える人は多いと思いますが、近年は消費量・生産量とも年々減少し続けているという状況にあります。現在の国産ミカンは[温州(うんしゅう)みかん]と呼ばれていますが、これは江戸時代に一般的だった[紀州(きしゅう)みかん]に対して、原産地は日本ながら、古くから柑橘類の名産地だった中国の温州にちなんでつけられた名称だということです。その温州みかんの収穫量は、1975年の366万5,000トンをピークに下降の一途をたどり、2017年には74万1,300トンとピーク時の5分の1以下に減少しています。その原因としては、バナナやオレンジなどの輸入果物の増加による消費者のみかん離れとともに、後継者不足によるみかん農家の減少もあると言われています。最近のみかんは、夏の暑さが残る9月頃から店頭に並ぶ[極早生]など種類も豊富で秋口から手に入りますが、かつてのシーズンである冬以外でも食べてもらえるよう、様々な加工食品が開発された時期がありました。その代表的なもののひとつに[冷凍みかん]があります。現在でも給食のデザートやスーパーなどでも見かけますが、その名の通りみかんをそのまま凍らせたものです。生産のピークは1960年代の半ば頃で、当時は1,000万個も生産されたとのこと。ある程度以上の年齢の方なら、駅の売店で買った冷凍みかんを冷房のない列車内で食べて涼を取った、という経験をお持ちだと思います。その他、みかんの缶詰」も代表的な加工品。子供の頃、風邪を引いた時に食べたという思い出のある人も多いのではないでしょうか。